#3 SEOにおける理想的な打ち手の策定プロセス
SEOコンサルタントの弓川です。前回は「#2 検索順位UPの課題分析方法」にて、Webサイトを3つの側面(内部・外部・コンテンツ)から頻出する課題を紹介しました。
同記事内にて頻出する課題に対しての打ち手も紹介しました。本記事では、膨大にあるWebサイトの課題に対して打ち手を策定する際の具体的なプロセスと判断基準を紹介します。
ウェブココルのサイト診断でも本記事の掲載項目に則った判断基準で、課題への打ち手を設定させていただいています。
SEO対策の打ち手を闇雲に打ってはいけない理由
SEO対策の施策は闇雲打っていくのはおすすめしません。理由は以下の通りです。
- SEO施策にはインパクト(影響度)が異なるため
- 施策の実装には時間とコストがかかるため
SEOというWebマーケティング施策は、Web広告と異なりAというアクションを行ったらからBになったという直接的な因果関係を立証するのが極めて難しいです。そのわりに結果を見られるのは1週間、1ヶ月後になるかもしれないという施策スピードが外的要因に委ねられています。
そのため、慎重に次に打つ施策を判断しなければ、効果の薄い施策を時間をかけて実装して、ただ時間の浪費に終わってしまったというパターンが頻出します。
SEO対策で打ち手・施策決定をするうえで判断すべき項目
サイトの状態、競合のサイトを分析したうえでSEO施策を決定しますが、その施策決定をするうえで判断材料となる項目があります。
- SEO施策におけるコスト(費用・時間)
- 現在のSEOにあった施策のインパクト(影響度)
- サイトの主にエラー面での重要度
- 競合の実施状況
- 施策の難易度(技術的含む)
それぞれについて詳しく説明します。
SEO施策におけるコスト(費用・時間)
SEO施策の実装において避けて通れないのはコストの算出です。もちろん「SEO」というWebマーケティング施策は広告と異なり、無料で行えるのが特徴ですが、施策の実装には相応のコストがかかります。
ここでのコストとは費用はもちろん、時間も合わせて算出します。特に時間の部分は見落とされがちですが、SEO施策の多くは時間がやたらとかかるものがあります。
最終的な施策実装プロセスを策定するうえでの判断基準のひとつなので、費用が高いからよってしなくていい、というわけではないことを抑えておきましょう。
現在のSEOにあった施策の影響度(インパクト)
SEOにおける市況感は月単位で変化しており、昨年通用していたSEO施策はすでに時代遅れといったことが往々にしてあります。
例えばmeta description(メタディスクリプション)については、一昔前は自身で設定したmeta descriptionを検索結果に表示させ、その内容次第ではCTRの向上を狙うことができました。しかし、現在ではGoogleがサイトのページ内から作為的に抽出して検索結果に表示しているため「設定したとしても表示されるかは分からない」といった状態になっています。
この状態を踏まえると、meta descriptionを全ページでしっかりと設置していくという施策の影響度は低い(効果が見えにくい)となり得ます。
現在のSEOにおけるトレンドの施策や重要視されている項目は、最前線で情報を追っていないと手に入りにくい情報になります。この点においてはSEOコンサルタントは常に最新の情報を仕入れているため、クライアント様に価値を還元できると考えています。
サイトの主にエラー面での重要度
サイトに重大ないし軽微なエラーが起きている場合は、その対処をしていかなければいけません。そのエラーの大きさによってSEO施策の判断材料としていきます。
例えばサイト内の一部のページが表示されないという状態は重大なエラーとみなしますので、早急に対処しなければいけません。反面、今までアクセスゼロのページ内に設置しているリンクが404エラーになっているといったエラーは、対処は必要ですが優先度は落ちるでしょう。
サイト内で発生しがちな主なエラーとしては、下記のものがあります。
- 4xx, 5xx系のエラー
- タイトルタグの重複
- 不適切なnoindex, nofollowタグの設置
- http, httpsのURLの混在(混合コンテンツ) etc.
これらのエラーの重要度を分けていき、適切な対処フローを設定します。
ウェブココルのSEOコンサルティングでは、Webサイトが正しいSEO評価を受けるためには「マイナスからゼロにもっていくことが重要」とし、コンサルティング初期はエラー対処を必ず行います。
まず評価されるスタートラインにもっていくことが、その後のSEO評価を適切に得る近道であると考えています。
競合の実施状況
#0、#1にて分析した競合のSEO対策の実施状況を観察します。もちろん現在の実装状況を言語化していくのは重要ですが、競合の順位が上がったタイミングで実装された(されている)SEO施策を探していくのが重要です。
競合サイトがGoogleに評価された瞬間、どんな施策が行われていたのか?に着目します。
これら観察するうえで重宝するツールが2点あります。
- Wayback Machine…Webサイトのある時点での状態を見れる
- Ahrefs…キーワードのある時点での検索結果を見れる
例えば競合サイトAが「◯◯」というキーワードで上位表示を達成したとします。
まず、AhrefsのKeywords Explorerにて「◯◯」の検索順位の遍歴をみます。すると、2021年4月に競合Aが上位表示を達成したというデータが得られました。
その後、Wayback Machineにて、2020年〜2021年にかけての競合サイトAの状態を分析・観測します。このときに行っているSEO施策やコンテンツ施策をできる限り言語化していきます。
このような手順で競合が行っている重要度の高い施策を判断していくのが必要です。
施策の難易度(技術的含む)
SEOの施策実装は、技術的に簡単にできるものから、高度なエンジニアリング知識を必要とするものまであります。
これらの難易度を社内のリソースと照らしあわせて可否を判断します。
一概にはいえませんが、SEOにおける内部施策と呼ばれる部分は技術的な部分があり、外部・コンテンツ対策の部分は、余り技術的な部分は必要としません。
これらは現在使用しているCMSによって難易度が左右される場合がありますので、判断つかない場合はエンジニア、もしくは弊社にご相談ください。
SEO施策・打ち手の実施プロセスを策定する
上記の判断基準を総合的に照らし合わせたうえで、実施プロセスを策定していきます。
下記の表は一例ですが、このように横並びにして施策を評価していくと適切なプロセスが立てられるでしょう。
施策名 | コスト | 影響度 | 重要度 | 競合の状況 | 難易度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
費用 | 時間 | |||||
meta descriptionの設定 | ◎ | × | △ | × | ◎ | ◎ |
重要ページへの内部リンク設置 | △ | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
メディアへの掲載依頼 | ◯ | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
… |
これらの施策の優先度決定は、サイトの状況により完全に異なるため一概に設定することはできません。
施策のチェックリスト自体はGoogleで検索すれば、他社様が公開しているかと思いますが、この施策の優先度決定は一筋縄ではいきません。SEOの市況によって優先度は常に変化しています。
施策の立案はもちろん、適切なSEO対策フローの策定やプロセスの設定という観点で、我々SEOコンサルタントはクライアント様に価値(バリュー)を提供できると考えております。